■日経BP社 浅見直樹
和田さん、そういう意味でこの業界は一年間でどれくらい大人の産業に成長できたという手ごたえをお持ちでしょうか。
■スクウェアエニックス 和田洋一
グローバルというお話ですと、世界中にゲームを楽しんでくださる、それに対してお金を払ってくださるお客様がいるという前提で、コンテンツの話は皆さんおっしゃるのであえてコンテンツでない話ばっかりしますとですね。
どういうような設計も成り立つんですよ。
例えばですね、パッケージソフトの販売ですと日本とたとえばフランスとやりますと、スプレッドは倍くらい違うんですよ。マーケットが2対1で引き分けなんですよ、利益ベースでいくと。つまり開発コストは2倍かけられるんですよね、同じであれば。
ということを考えた時に、国内だけで完結するのも成り立つんです。我々はグローバルにせっかくいい市場があるのであればグローバル市場で戦おうといった時に、ここからポイントになるのはですね。
グローバルという市場がないということなんですよ。
いろんな国の積み上げなんですね。
いろんな国のセグメントの積み上げで結果としてグローバルになっているということですから、作る側も売る側も相当多様な趣向に耐えられる業態でないといけないと思う。
ということをどう割りきるかというのが重要だと思いますね。
■日経BP社 浅見直樹
北上さん、グローバル競争における日本の強みというのを何かお感じになることがありますか。
■コナミ 北上一三
……。
■日経BP社 浅見直樹
グローバルな競争における日本の強さというのはどこでしょうか。
■コナミ 北上一三
ああ。
えっとですね、私もアメリカに住んでいるんですけど、日本人とアメリカという、まあアメリカ人、純粋なアメリカ人はいないので、たくさんの人種がいっぱい来ているわけですけど。根本的に人種が違いますよね。
日本の歴史はもう2000年以上歴史があると思いますけど、アメリカの歴史は200年とかそんなもんだと思う。彼らには歴史がないという、我々とは少し違う。
ヨーロッパの国はそれぞれ日本以上の歴史をもっていますけど。
それぞれの国によって教育課程が違う、価値観が違うということで、ある意味日本人の人たちというのは日本が全世界共通だと思っているのかもしませんけど、たぶん日本が世界の中でちょっと違うんだろう、という風に思います。
その中でわれわれの頭脳がグローバルに成功できるにはどうしたらいいのかと考えますと、たぶん技術力ではちょっと欧米のソフトパブリッシャーの方が優秀だという風に思います。
日本のメーカーのいいところというのは、やはりクリエイティブ、といったら簡単、広すぎるんですけど、ひょっとしたら新しい遊びを提案する、トイ、おもちゃの発想、もともとゲーム機もおもちゃから派生していますから、おもちゃの発想、新しい遊びを提案することにかけてはひょっとしたら日本が世界をリードできるんじゃなかろうかと思っていまして、ここをなんとか前面に、日本のメーカーは前面に出せていければと思います。
あとはどういうジャンルかと思いますと、我々わからない。
ハリウッドの映画を見てると少しヒントになるかもしれませんけど。
ハリウッドの映画はアクションばっかしですよね。僕は英語がわからないんですけど、英語がわからない人もハリウッドのアクション映画はわかる。アメリカではヒスパニック系の人もいてるし、アジア系の人もいてるし、英語がわからないアメリカ人がいっぱいいてるんですよね。
あの人たちに映画を楽しませるにああなったのかな、と。
ようは言葉がわからなくても面白さを伝える。
それがしいてはハリウッド映画っていうのは日本にもアジアにもヨーロッパにも言葉が違っても面白さを伝える技術を身につけたのかな、ということで。
やはり我々は新しい遊び、日本としては新しい遊びを提案するのとグローバルで成功するにはアクションゲームであったりスポーツゲームであったり、誰でもわかるものに新しい我々の新しい要素を入れる。
コナミでいうと「メタルギア」は、日本のかくれんぼの要素が入っている。アクションゲームの、本格アクションゲームの中に新しい遊びを組み込むことによって全世界の人たちに共感してもらったと。
そういうことで、我々のやはり同じような、さきほど鵜之澤さんが言われたんですけど、同じものを作っていては勝てないと思いますね。
当然アメリカのメーカーも日本のマーケットに対して、日本と同じものを作っても我々の方が強いですね。同じことだと思うんで。
我々はやはり同じものでぶつかるんでなくて、我々の差別化というのをもっとクリエイターの人たちに考えてもらって、前面に出してもらって、これがメイドインジャパンのアクションゲームだ、あるいはスポーツゲームだ、という提案が必要だと思います。
■日経BP社 浅見直樹
ありがとうございます。
Part17に続く