■日経BP社 浅見直樹
いまちょっと日本と世界という話が出ましたので、テーマ2の方に行きたいと思います。画面を切り替えていただけますか。
これからワールドワイド、グローバルな競争の中における日本というのを二つの視点から、ここではたまたま国内でのマーケットがどうなるという風な書き方をしてありますけど、開発という意味も含めてですね、日本とグローバルな関係がどうなっていくのか、市場という点と、タイトルの開発という意味での連携、この視点から窺っていきたいかな、という風に思っています。
次は順番は鵜之澤さんの方から戻ってくる形でお願いいたします。
■バンダイナムコゲームス 鵜之澤伸
直近で言うとやはりですね、このマーケット、日本は少子化ですし、なかなかとね、停滞感があって。
一つはやっぱり開発人員が倍近くに上がると、今までのマーケットの中じゃ商売にならないっていうんで、海外に場を求めざるを得ないというですね。
別に海外市場がいいからじゃなくて、生き残るために海外を意識するという風にはっきり変わっていますよね。
うちもSCEのマネしてワールドワイドスタジオなんてのがあるんですけど。
アメリカでも開発をやり始めているんですけど、まあ正直苦労していますね。
内部で100人近くのスタッフがいるんですけど、それ以外にも外部のスタジオを使うとですね、どうもいい仕事にならなくて。結果、引き上げてきて、内部のスタジオで完成させるみたいなことが2度ほど置きましてですね。難しいんだなと。
やはりアメリカはアメリカで独自にタイトルのチョイスからいろいろとシネマチックにバーティカルスライスだとかグリーンライトムシステム(詳細不明)とか、メイドインアメリカのゲームの進め方を聞いて、ああそうなんですか、とやってみたわけですけど、結果、そういう仕組みだけではできなかった。
やっぱりもっとゲームの中身をわかる人間がべったりくっついてやらないとできないことで、今うちのワールドワイドスタジオのボスにナカタニというのがいるんですけど、彼に全部ケツ拭かせるようにですね、今走っているタイトルを全部見直しをしてもらっている。
やはり口出すとかなり変わりますね。
■日経BP社 浅見直樹
去年と比べ、だいぶグローバル化が進んだということでよろしいですか。
■バンダイナムコゲームス 鵜之澤伸
まだ発売できているタイトルが無い。本当は今年2本出る予定だったんですけど、両方とも今言ったように来期発売に、手を入れ直しているんで。
結果を出せていないって感じですよね。
■日経BP社 浅見直樹
世界のコンテンツ競争の中で、日本ということの強みはあるんですか。
■バンダイナムコゲームス 鵜之澤伸
確実にあると思いますね。
アメリカのパブリッシャーやデベロッパーと同じものを作っても日本のゲームメーカーの意味はたぶんないんだろうなと。
やはり日本人の持っている物づくりのこだわりだとかこまかさ、手触り感。マリオとかパックマンから初まっていった、日本から発想していったものがどんどんアレンジされて。
今はわりとハリウッド映画みたいになっていますよね。
そこにね、ハリウッド映画を日本で作ってもしょうがないなと。
やっぱり日本は日本のカルチャーがあるし、そこにチャレンジしていけばいずれいいことがあるだろうと。
■日経BP社 浅見直樹
たしか昨年お話を伺った時には、比較的アジアについては日本の強みが発揮しやすいんではないかとのことでしたが。
■バンダイナムコゲームス 鵜之澤伸
そのはずですけどね。
今年チャイナジョイに久々にいったんですけど、おんなじようなタイトルがわーっと並んで。
すごい勢いですよね。
やっぱり今の中国を見ると、今のところ日本のものをあまり必要にしていってくれているようにみえない。
でもやはり、僕らはコミックからアニメだったりゲーム自体も数十年の歴史を持っていますんで、その間にクリエイターが、個人の方も含めてね、非常にこう、業界にいるんですよね。
アジアはそういう産業が立ち上がったばかりなので、そういう元から作れる人がまだまだ少ないんではないかと。
この蓄積は必ず日本に優位性があると思っているんですけどね。
Part15に続く