東京ゲームショウ2009 基調講演2部「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」全内容Part10

■日経BP社 浅見直樹

鵜之澤さん自身もネットワークにおけるコンテンツビジネスはあるだろうと。

ただし、今のように巨大化したコンテンツ産業を支えていく大きな柱とすると、このままでは難しいというご指摘という理解でよろしいでしょうか。

■バンダイナムコゲームス 鵜之澤伸

一つのソフトを作るのに50人100人規模で2年近くかけてやっていたものを回収できるモデルにはならないだろうな、と。

今ね、吉田さんが言われたようにゲームの作り方とか変わってくるだろうなと思うんですよね。

もしかすると、この10年くらいでインターネットが出てきたり、携帯電話でああいう機能が出ましたけれども、じゃあ既存のゲームメーカーがオンラインだとかモバイルのゲームで大成功出来ているかというと、残念ながら違いますよね。

どちらかというと違う、もっと若いいわゆるIT業界の方々がゲームを使って大きなビジネスを新しいモデルを作り上げているという。

それに僕らは乗り遅れたんだと思うんですよ。

いちおう各社でモバイルのゲームをやってはいますけど、少なくともモバゲタウンだとかグリーのような、ましてやミクシイでゲームやったり、そういう感覚じゃないですよね。

■日経BP社 浅見直樹

和田さんいかがですか。

■スクウェアエニックス 和田洋一

商売の議論でいうと、明かにですね、ロジステクィス、在庫ですとか、その他の経費がいらなくなりますよね。

今までは誰かが負担しなけれならなかったのが、その部分は負担しなくて済みますよね、という当たり前のことがあります。

重要なのは、パッケージソフトは一物一貨だったということにあります。

ネットワークだと、価格を自由に設定できると。

たとえば6800円のゲームを30時間で遊んでくださいと。30時間遊ぼうが遊ぶまいが6800円。

ところが、30分だけやりたい、ただし500円しか払いたくないっていうのですとか、30時間やってから、追加で自分によってこんなカスタマイズができるから5万円払ってもいいと、いう人がいたとすると、価格設定が滑らかにできるんですよね。一物一貨じゃないというところなんです。

同じコンテンツからもいろんな収益モデルが設計しうる基盤ができるというところが大きいと思うんです。

それをやること、ただ、これはお客様の習慣があるんですよね。

習慣というのは、ディスク1枚に入ったデータに何千円を払うのはバカみたいと思うでしょ。

ただ、百科事典だと3万円くらい払いますでしょ。

今まで本棚にばーっと30巻位並んでいないと何万円という気はしなかったんですけど、百科事典ですと3、4万払うんですよ。

とりあえず、習慣の問題なんですよね。

ですから、そういうようなモデルがありうるということをですね、一般化する前からどんどん言っていかないと、作り手の発想もなかなか変わらないですから。

■日経BP社 浅見直樹

それはさっき和田さんがおっしゃったような大人がクールだと思うようなものがうまくネットワーク経由で提供することができるとしたら、それにもきちんとした高い代価をチャージすることができるような、新しいコンテンツがうまれうると、そういう考えでしょうか。

■スクウェアエニックス 和田洋一

そうですね。議論のポイントとしては独立しているんですけど、二つ合わさった効果というのがあるかもしれませんね。

Part11に続く

タイトルとURLをコピーしました