■日経BP社 浅見直樹
吉田さんいかがでしょうか。そのへんの危機感というのは。
■ソニーコンピュータエンタテインメント 吉田修平
物を作るクリエイトする、コンテンツを作る立場で先を考えるのとですね、それをビジネスとして、経営者の一員として考えるのとで変わってくるのですけど、物を作るという立場で考えた時にですね、今のこの業界というのは先ほど北上さんがおっしゃったようにWiiで体を使って遊ぶ、それのセンサー群というのは日進月歩で、より忠実な体の動きをとらえたりとか、あるいは先の平井の講演の中でありましたが3Dテレビ、ディスプレイの技術、あるいはタッチパネルですとか、いろいろなゲームに使える要素、もちろんネットワークもそうですけど、というのはいろいろとネタがあるわけですね。
それをこういうことでゲームに使っていきたい、こういうことに使いたいというアイデアは非常にたくさんあります。それこそリソースが足りないくらいアイデアが出てくるんですけど、ただユーザーさんの生活の中にゲームがいろいろな形で入ってきていて、そこに使われる時間とかお金は、まさに今和田さんがおっしゃったように課金の仕組みですとか、そういったところをよく見ていかないと、ユーザーさんがこういう物はこういうシーンで使いたい、お金を出しますと、というところと、クリエイティブな、こんなのができました、面白いでしょ、というところがぴったり合わないということは往々にして起こりやすい。
逆にいろいろな選択肢があるからこそ、そこの見極めは非常に難しいものになると思っています。
■日経BP社 浅見直樹
鵜之澤さんは一年経ちまして、去年の危機感から強まりましたか、それとも改善されましたか。
■バンダイナムコゲームス 鵜之澤伸
僕らも中期計画のようなものを立てるんですけど、やっぱりすべてのですね、パッケージ、日本で言うと7000円台、海外ですと59ドル、それを何枚売るかというビジネスモデルから抜け出せてないですよね。
ダウンロード等が出てきて、じゃあダウンロードでフルパッケージを7000円払ってプレイするかというと、ちょっと自分の感覚から見てもありえない感じがしますよね。
さっき吉田さんが言ったようにですね、iPhoneが出てきて、平均売価でみると1ドル足らずで、7000円59ドルと大きな違いがありますよね。
うちもモバイル部門でパックマンとかをやっているんですけど、20万ダウンロードですけど5ドル程度で売って1億程度の末端売上。これでは会社は回せないな、と。
みなさんおっしゃる通り、ビジネスモデルとやり方をいつ変えられるのだろう、いつ変えられるのだろうという恐怖心はありますよね。間違いなくたぶん変わっちゃうんだろうなと。
今のパッケージでダウンロードにするにしても、あのボリュームのもの、開発者にコミットかけて、プレイ時間は何十時間、クオリティはこの程度というモデルから抜け出せてないというのは恐怖ですよね。
本来、ここ数年ゲーム業界全体で任天堂さんのDSからはじまってWiiの新しいパラダイムのようなことが起きたんですけど、それにサードパーティがなかなかうまくついていけなかったという実感もあります。
その変化に前のビジネスモデルとかゲームの作り方から抜け出せなくて、斬新な発想がしきれなかったのが事実なんじゃないかなと。
そのへんがだんだん迫りくる恐怖になっているんですよね。
Part8に続く