東京ゲームショウ2009にて行われた基調講演第2部「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」の全内容を掲載していきます。
基本的に各登壇者が話されていることは軒並みテキスト化しています。しかし、言いなおしや、会話をつなぐ際に発生する言葉などの一部は、状況に応じて省いております。
全内容は数回に分けて掲載予定です。
今回の登壇者、及び司会進行役は下記になっております。
・カプコン 代表取締役社長 辻本春弘
・コナミデジタルエンタテインメント 取締役副社長 北上一三
・スクウェア・エニックス 代表取締役社長 和田洋一
・ソニー・コンピュータエンタテインメント SCEワールドワイド・スタジオ プレジデント 吉田修平
・バンダイナムコゲームス 代表取締役社長 鵜之澤伸
・モデレータ:日経BP社 電子機械局 局長 浅見直樹
紹介文中では、メーカー名(一部略)と名前にて表記いたしますので、あらかじめご了承ください。
■日経BP社 浅見直樹
みなさんこんにちは、日経BPの浅見でございます。
実は昨年ですね、初めてこういったトップを招いてのパネルディスカッションを企画してみました。
去年ご登壇いただいたのは辻本さんと和田さんと鵜之澤さんの3名だったんですね。
最初だったのでどんなパネルになるのか我々も心配だったのですが、非常に業界に対してメッセージを伝えることができる面白い内容だったかなと思っております。
ですので終わった後も我々いろいろな方から、ぜひ今年も続きをやってほしいとお声掛けをいただきましたので、今回、さらに二人の方を加えて5名にパワーアップしたパネルをですね、これから展開していきたいなという風に考えております。
昨年のゲームショウと、今年のゲームショウで何が一番大きく変わったってことを考えますと、去年の9月がちょうどリーマンショックだったんですね。
なので、確かに去年も春先から決して経営状態がゲーム業界だけでなく、産業界全体を見た時にどうだったかというと、やや曇りがちになっていたわけですが、去年の秋以降、非常に産業界、金融も製造もあらゆる業種が未曾有の不景気に陥った。
特に今年になってから百年に一度といわれるくらいの不景気だといわれるようになりました。
そういった業界を取り巻く荒波の中でゲーム産業はこれからどっちの方向へ向かおうとしているのか、特に日本は少子化という問題を抱えております。
今日、先ほど平井さんといくつかお話をさせていただきましたが、多少いろいろなゲームのテクノロジーに関しても飽和感があるという言葉も聞こえてきております。
そういった意味でゲーム産業を取り巻く環境はかなり厳しいものがあると思っているのですが、みなさんその点をどんな風に思っているのか、その中で2010年を展望する上でのヒントを皆さんにお持ち帰りいただきたい、という風に思っております。
今日は主に3つのテーマについて議論していきたいと思っていますが、最初のテーマの方を画面に出してください。
まず皆さんの方からですね、この1年間を振り返りまして、日本の家庭用ゲーム機の業界、どんな変化が起きたのか、みなさんにとっての2009年を総括していただきたいと思っています。
もちろん、その中にはグローバルな話も入ってきてもかまわないかと思っていますが、みなさんの今年1年を通してゲーム産業の置かれている立ち位置に対してどんな認識をお持ちかということを窺っていきたいと思っております。
トップバッターは辻本さんからお願いします。
■カプコン 辻本春弘
あまり難しいことはわからないんですけど、この1年間で日本市場においてユーザーさんのゲームにおけるプレイスタイルが大きく変わったんじゃないかという風に感じてます。
もう一つは、携帯ゲーム機の普及が数年前から普及していたわけですが、かなり以前からゲームを携帯機でやっているのを見かけるようになったわけですけど、さらにこの1年間でそれが複数人で街角でゲームをやっているというところを見かけるようになりました。
これはもちろん「モンスターハンター」というタイトルもありますが、近々でいくと「ドラクエ」ですね。非常によく見かけるようになったと、これもここ数年間、1年間において、かなり市場が変わった状況じゃないかなと。
ユーザーさん自身のゲームのライフスタイルが変わったということが大きな変化だったんじゃないかと感じています。
■日経BP社 浅見直樹
ネットワークがようやくゲーム産業に根付きはじめたという、そんな元年の年といってもいいですかね。
■カプコン 辻本春弘
そうですね。やはり、今までは個々個人で携帯機で遊んでいたわけですが、それが数人集まりながらワイワイガイガイやりながらゲームをやると、いうところが、簡単に複数人でゲームを出来るというところは携帯ゲーム機における特性ではないかと。それが認知されたかな、と思っております。
■日経BP社 浅見直樹
ありがとうございます。北上さん、いかがでしょうか。
■コナミ 北上一三
えーっと、1年ね。日本のマーケットのこの1年ですよね。えー。
■日経BP社 浅見直樹
いや、まあなんでも今、北上さんのお持ちいただいている問題意識をぶつけていただければよろしいかと。
■コナミ 北上一三
あのー、景気がどうのこうのというのは我々のエンターテイメントの産業というのは基本的にあまり関係がない。
ちょっと昔ですけど、失われた10年の時も我々産業というのは毎年毎年成長したと記憶しています。プレイステーションの1が出たのは95年くらいでしたかね。とすると、失われた10年の真っただ中にプレイステーションが出たわけですから、景気と我々の産業は関係が無い。
じゃあ、どういう風にこの1年は変化があったかと考えますと、やはり新しい遊び、Wiiが成功したり日本独特のハンドヘルド、ニンテンドーDSもそうですし、プレイステーションポータブルもそうですけれども、いつでもどこでも遊べる、と。そういう新しい感覚として今までのゲームユーザーも、あるいは新しいライトなユーザー、ファミリーなユーザーを新しく取り組むことができて、ゲーム業界としては新しい提案ができた1年だったと思います。
■日経BP社 浅見直樹
では、来年は明るそうでしょうか。
■コナミ 北上一三
それはまた別の話で。
Part2に続く