「PSP登場 ~PSPがもたらすもの~」Part3
「幻想と現実」

来年発売されるPSPがSCEの思惑通りに年間出荷1000万台を達成したとしても、そこから収益を挙げなければ成功とは言えない。PSPはゲーム機である以上、利益を得るためには専用ソフトを販売していく必要がある。そのソフトを提供するのはソフトメーカーなのだから、PSPが最終的に成功するかどうかは彼らの態度次第であると言っても過言ではないだろう。

ソフトメーカーにGBAだけでなく、PSPにも本格的に参入してもらうためには、ある程度の台数を普及させる必要がある。そのためSCEはPS2の導入期と同じように、ハードそのものに魅力を持たせ、普及に弾みをつける戦略を執るはずだ。具体的にはPSPを“ゲームもできる新しいウォークマン”として位置づけることで、普及を促進していくものと考えられる。だが、いつまでも“ゲームもできる新しいウォークマン”では、PSPを発売した意味がない。あくまでゲーム機であるのだから、どこかでPSPを“色々な機能も付属している携帯ゲーム機”に転換させなければならない。その役割を担うのがソフトメーカーである。

そのソフトメーカーにしてみれば、『ハードが1000万台出ていれば、“300万本売れるかも”っていう幻想は抱ける』(注5)のだから、計画通りにPSPが普及すればソフトメーカーは喜んで参入する、はずである。しかし、そう簡単に話は進まない可能性は十分にある。原因はソフトメーカーの業績だ。

昨今のソフトメーカーの業績は決して良好とは言い難い。すべてが赤字や減益に陥っているわけではないが、楽観視できる環境でもない。国内ゲーム市場の成熟化の影響からか、売上が大きく伸びている大手ソフトメーカーは殆どなく、増えても微増に止まっている。

ソフトメーカーは営利企業であり、特に大手は上場企業である所も多いのだから、より大きな利益を出すために常に努力をしなければならない。利益水準を向上させるためには大きく分けて、売上を伸ばすか、経費を削減するかの二つの方法があるが、国内市場での伸びが期待できない現状では、効率化の名の下に、経費の削減を行う方が手っ取り早く業績を上向かせることができる。

開発陣の増強をしてきたカプコンは開発部門の人員削減と開発チームの再編を発表、セガも同様に開発陣の再編を検討しているが、その効率化の流れはすでに他のメーカーにも波及している。そんな環境下でソフトメーカーは、敢えてPSP専用ソフトの開発に力を入れるのだろうか。

確かに1000万台ものPSPが普及していれば、PSP用ソフトが大いに売れる幻想を抱けるかもしれないが、それが現実になる保証はどこにもない。ソフトメーカーがこれまで以上に利益を重視するのであれば、既存の市場向けのソフト開発を重視した方が良いと考える可能性もある。

“ゲームもできる新しいウォークマン”が、“色々な機能も付属している携帯ゲーム機”へと転換するためには、ソフトメーカーがPSP市場のメリットを認識しなければならない。彼らがそれを把握するまでには、もう少し時間が必要になるだろう。

注5…「月刊アスキー 2000年4月号」 P244 アスキー

(つづく)

(ライター:菅井)

■ゲームニュース
ゲーム最新ニュース

PS4
PS3
PS2

PS Vita
PSP

Wii Wii U

ニンテンドー3DS
ニンテンドーDS

Xbox One
Xbox360

WINDOWS
DVD ブルーレイ

スーパーロボット大戦
テイルズ オブ
ファイナルファンタジー

ゲームニュース2007年
ゲームニュース2006年
ゲームニュース2005年
ゲームニュース2004年
ゲームニュース2003年
ゲームニュース2002年
ゲームニュース2001年
ゲームニュース2000年

■各種コンテンツ
ゲームいろいろ情報サイトマップ
ゲーム発売日
アニメ発売日
漫画コミック発売日