「豪語する人々~その訳は~」Part3
「対象者」

ゲーム業界のトップ達が大言を吐く理由はトップにいる人間として『一寸先は闇』であるゲーム業界の未来を明るく描き出す必要に迫られていたからだと言うことができる。描き出した未来は、公言してこそ価値があるのだから、彼らは自らの予想した明るい未来を口にしなければならなかったのである。だが、トップ達のこの言葉は誰に向けてのものなのか。

まず考えられるのがライバルに向けてであろう。彼らの言葉の応酬は舌戦に見えるのだから、相手に向ってものを言っていると思うのは当然だ。だが、ライバルは言葉ぐらいではへこたれるわけがない。なぜなら、彼らに最もダメージを与えられるのは「言葉」ではなく、販売実績などの「数字」だからだ。ライバル社のトップが口にした夢物語ぐらいで、自らの描き出した未来を不安視するとは到底考えられない。それでは、トップ達の言葉は一体誰に向って言われたのだろうか。大口はトップの役目である以上は身内の人間、つまり社内全体に向けてのものだと考えられる。

会社を運営していくためには、自社の方向性や将来像を明快に打ちだしていかなければならない。CSKやセガの元社長である故大川功氏は生前、会社を引っ張っていくためにはビジョンが必須のものであると主張していた。『会社は、感動の歴史や。ビジョンを持って、経営をしていかなくてはいけない。ビジョンがないと、しょせんは日々の目の前のことに流されてしまう。…人の集団をつなぎとめておくのは、ビジョンしかない』(P168 「ゲーム戦争」 著大下英治 光文社文庫 1996)。明るい未来を描き、それを口にするという行為は、別な言い方をすればビジョンを語ることでもある。

大川氏の考え方がゲーム業界でも通じるとするならば、トップがビジョンを語るのは社内をまとめるためだと言うことができる。ゲームビジネスという不透明な環境下で巨大化しつつあるゲーム制作集団をつなぎとめるためには、少々夢見がちな発言ぐらいがちょうど良いのではないだろうか。

身内の人間以外に対象者を挙げるとすれば、あとはゲームユーザーが考えられる。それは、自社の製品がユーザーにもたらすであろう面白さと明るい未来が、如何に他社のより優れているかを言葉で訴えれば、彼らの支持を得られるかもしれないからだ。実際にそれで支持が得られるかどうかは分からないが、ユーザーに語りかけることはできている。単なる宣伝の効果しかなかったとしても、言葉一つで費用をかけずに宣伝ができているのだから、大口の効果はあると言えるだろう。

一見すると、トップ同士が激しい舌戦を繰り広げているように見えるが、実は彼らは相手の方などまったく見ていないのである。

(つづく)

(ライター:菅井)

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