「Xboxの現状 ~普及への長期戦略~」Part1
「販売不振」

ライバルであるプレイステーション2(PS2)との差が2千万台以上。今年2月に発売されて以来、開く一方の格差と評価。それなりに堅調な数字を出しているゲームキューブ(GC)と比べても出遅れ感が否めないゲーム機「Xbox」。北米や欧州での販売実績は決して好調と呼べないが順調に普及台数を伸ばしてはいる一方で、日本国内販売は依然として低迷を続けている。PS2が華々しい普及台数を発表するたびに、厳しい戦いを強いられているXboxの国内での存在感は薄くなりつつある。もはや、発売以前に持たれていた三強の一角というイメージは消え去ってしまった感がある。

同機が販売不振に陥った大きな原因は、ヒット作をコンスタントに出し続けることができていないからであろう。特に、Xboxの普及を手助けしたDOA3以外に目立ったソフトが登場しなかったのが響いている。しかも、そのDOA3ですら今年6月下旬の時点で値崩れを起こしているのが現状だ。『現在の店頭価格は千九百八十円~五千七百八十円で、安値は約六割強下落している』(日本経済新聞 2002年7月1日)。その他のソフトもDOA3同様に下落が続き『本体と同時発売の主要なソフトは四割以上値下がりしている』(同)という。

さらには、Xboxの最大の売りであるオンラインゲームが未だに出てきていないのも、不振を煽る原因になっている。いくらオンラインに強いから魅力があると言っても、対応ソフトが出なければその高機能も意味が無い。これでは、販売不振に陥るのも無理はないだろう。現状のXboxは決して良い環境におかれているわけではないのだ。

殆ど普及していない現時点でのXboxは、はっきり言って“MSの実験機”として機能しているに過ぎない。ハードディスクが内蔵なされているゲーム機は今まで無かったものであるし、オンライン対応機能が標準装備されているのも特筆すべき点である。このようなXboxの高性能は誰もが認める所だ。だが、その性能を実際に活かすことができなければ、それは“実験的”でしかない。そもそも新参者のマイクロソフト(MS)がゲーム機を発売すること自体、実験的だとも言えるのだ。

しかし、Xboxをゲーム機ではなく“実験機”にしかさせていないのは、MS自身のせいであろう。Xboxが現在、不振に陥っている現状を“失敗”と呼ぶのであれば、MSが犯した失敗の原因はMS自身の「ユックリズム」にある。

(つづく)

(ライター:菅井)

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