【コラム】「Xboxの憂鬱 ~未完の大器~」Part4 |
「二つのソフト」
発売以来、販売が振るわない結果だけ捕らえて論評すると、Xboxの先行きを見間違う恐れがある。その理由のひとつとしては、MSの戦略があろう。Xboxは、MSの収益構造を変えるために登場した戦略商品のひとつであるため、同社が短期間に収益があがらないという理由でXbox事業を軌道に乗せる努力を簡単に放棄するとは考えにくい。MSはXboxが広く普及するように、たゆまぬ努力するだろう。今後も、Xboxの販売促進のためにMSは何らかの手を打っていくはずだ。
さらに、Xboxが普及するために必要なはずのオンラインゲームが未だに出てきていないことも、もうひとつの理由として挙げられる。オンラインゲームができないのであれば、Xboxの魅力が半減したと言っても過言ではないからだ。オンラインゲームの無い、現在のXboxは他社のハードと競争できる状態ではない。はっきり言って、Xboxはまだ“発売”されてはいないのである。
これらの理由からXboxの未来をいま、決めつけるのはあまりにも早計だ。世界有数の大企業の期待を一身に集め、本当の意味で発売されていないXboxの販売計画が予定通りにはなっていないことを以って、Xboxの今後を予測するのは少々大胆すぎる。
しかし、他社ハードと同じスタートラインに立っていないからと言って、販売不振を容認できるわけではない。Xboxの売り行きが鈍い事実は、オンラインゲーム以外の一般的なゲームを比較すると、Xboxのソフトより他社のハードで発売されているソフトの方が良いと、ユーザーが判断している証拠でもあるからだ。さらに、Xboxがいくらオンラインゲームが強いと言っても、それだけが頼りになってしまうと、ユーザーの間でもソフトメーカーの間でも「Xboxはオンラインゲーム専用機」とのレッテルを貼られてしまう恐れがある。レッテルを貼られることはそれほど問題ではないが、可能性を狭めるレッテルは注意する必要があるだろう。
ユーザーがXboxにオンラインゲームだけを期待すると、ソフトメーカーはユーザーが期待しているソフト、つまりオンラインゲームだけをXboxに供給する可能性が高まる。そうなると、ユーザーはますますXboxにオンラインゲームを期待するようになり、ソフトメーカーは、その声に押されるようにオンラインゲームを出す。
このサイクルが、いつの間にかXboxにレッテルを貼ることに繋がってしまうのだ。もし、オンラインゲーム専用機というレッテルがXboxに貼られてしまったのならば、同機には大きな痛手だろう。オンラインゲームは決して誰にでもできるゲームではない。それなりにハードルは高い。気軽に参加できなければ、どうしてもユーザーの数は一般的なゲームより少数になる。参加者を選ぶゲームがXboxの主流になれば、同機の大量普及は難しくなる。
Xboxにオンラインゲームが出てきていないからと言って決して、将来を楽観視できるほど簡単な状況でも無いのだ。
ただ、オンラインゲームがヒットする中で一般的なゲームがXboxで登場する可能性も十分ある。そうなれば、Xboxのイメージも変わっていくだろう。Xboxが大きな飛躍を遂げるためには最初は“オンラインゲーム”、途中からは“普通のゲーム”の二つのゲームソフト必要になる。もし、両ゲームがタイミング良く表れれば、PS2でさえ安穏とはしていられない。高い性能を有した未完の大器が予想だにしなかった結果をもたらす可能性は意外にある。
(おわり)
(ライター:菅井) |
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