【コラム】「Xboxの憂鬱 ~未完の大器~」Part3
「真の発売日」

Xboxの最大の売りはその高性能さにある。現在、ゲーム市場でトップを快走するPS2をも超える性能をXboxは有するが、中でも優れた所は通信機能だろう。ブロードバンドに対応した通信機能をあらかじめ搭載したのは、Xboxぐらいなものだ。PS2にも対応能力はあるが、通信機能を発揮させるためには対応する周辺機器を追加購入しなければならない。MSは、今後大きな飛躍を遂げると予測されているオンラインゲーム市場で、Xboxの存在感を大いにアピールするためには、通信機能を強化しておくと競争優位に立てると考えたのだろう。オンラインゲームが伸びれば、オンラインに強いXboxも一緒に伸びることができる、と。そのため、通信機能が優れているXboxにとってオンラインゲームは欠かせないものなのである。

だが、残念ながらXboxの特長を最大限アピールするために必要なオンラインゲームは同機が発売されてもなお、殆ど出てきていない。これでは、Xboxの良さをユーザーに訴えかけることができない。一般的なゲームユーザーであれば、すでにPS2を保有していると考えられる。発売から約二年間が経ち、普及台数が2000万台を大きく超え3000万台も射程圏内に入っている現状はそれを証明しているだろう。

ならば、そのPS2ユーザーが、新しいハードが出たからといって、わざわざXboxを購入してくれるだろうか。PS2より性能が高いXboxのゲームが、必ずしもPS2のゲームより面白いわけではない。更に言えば、PS2に比べXbox専用ソフトは少なく、本体の店頭価格はXboxの方が高いのだ。これでは、普通のゲームユーザーは様子見を決め込むだろう。

彼らに、こういった高いハードルを超えてもらいXboxを購入してもらうためには、PS2ではできないオンラインゲームが絶対に必要である。だが、それは未だに姿を表してはいない。Xboxならではのオンラインゲームが出てきていないのだから、Xboxが不振に陥るのは当然の結果と言える。

そういったことを考えれば、Xboxに関してある極端な仮説を作ることができる。それは「Xboxはまだ“本当の意味”で発売されていない」というものだ。Xboxの特長であるオンラインゲームが出てきていない以上、ユーザーにXboxの良さを十分にアピールできていない。オンラインゲームがあって初めてXboxの存在を「PS2とは違う」とユーザーに認識してもらえるのに、未だにそうなっていないのだ。これではユーザー側にしてみれば、Xboxはまだ本当の意味で発売されていないのだ、という認識になるだろう。

Xboxの真の発売日は、Xbox専用ソフトとしてオンラインゲームが発売された時だ。二重の発売日を持つハードはこれまでに例が無いが、この点がこれまでのハードとXboxが違うところでもある。Xboxの本当のスタートはまだ先なのだ。

(つづく)

(ライター:菅井)

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