【コラム】「企業再生 ~黒字転換の意味とは~」part1 |
「黒字転換」
2001年度の各ゲーム会社の業績は堅調なところが多い。まだ、期末の業績が明らかになってはいないので、全体の論評は時期尚早の感があるが、コーエーやテクモは通期で高水準の成績を出すと見込まれている。反面、これまで好調を維持してきたコナミやエニックスが中間期・通期共に減益になると報じられてはいるが、利益水準は高い位置でプラスを維持してる。2001年中間期で、前年同期と比較して、大きな赤字に転落するのは映画事業で多額の損失を出したスクウェアぐらいなものだろう。
スクウェアとは逆に、2001年中間期に赤字から黒字化したソフトメーカーは多い。セガやナムコ、タイトーやアトラスなどがそれに当てはまる。特にナムコ以外の三社は、数年ぶりに営業利益の段階で黒字転換を果たした。長年の赤字体質から脱却した背景には、第一にゲーム市場の回復がある。特にアミューズメント施設の収益回復が目覚ましい。ここ数年は既存店が、売上高の前年度割れを記録するなど不振を続けてきたが、2001年度は不採算店舗を閉鎖するなどのリストラ効果や、人気格闘ゲームシリーズの続編の登場・写真シール作製機「プリクラ」の再人気化などがあり、売上が再び伸びるようになった。ナムコのアミューズメント施設の場合、昨年八月から前年同時期の売上水準を上回るようになったという。
更には家庭用ゲーム機市場も回復の傾向が出てきている。一年間でゲームソフトが最も売れる時期であり、ゲーム業界が最高に盛り上がる季節であるクリスマス。ゲーム雑誌「ファミ通」を発行しているエンターブレインは、昨年、この時期の売上が大きく伸びたと分析する。『…昨年十二月単月のゲーム市場規模は前年同月の一・五倍に達したとみている』(2002年1月18日
日本経済新聞)。最も多くゲームソフトが売れる時期に、市場規模が急激に拡大すれば、ソフトメーカーの業績に良い影響があるのは間違いない。この恩恵は、業績の回復に大いに貢献したのだ。
ゲーム市場の回復の追い風を受け、黒字転換を果たした各社。だが、赤字に陥る前までは、どのソフトメーカーともかなりの利益をあげる優良企業だった。業務用ゲームではセガやナムコが、アミューズメント施設運営ではタイトーが業界でトップクラスの地位にあったし、アトラスはプリクラで空前の利益をあげていたはずである。それなのに、いとも簡単にマイナスに転落し、赤字体質が定着してしまうのだから、ソフトメーカーの経営は難しい。
赤字を数年振りに克服し、黒字に転換したナムコを除く三社は、それぞれ長年染みついてきた悪い体質を各々独自のやり方で改善を図ってきた。この“復活劇”は彼らにとって大きいことであるが、実はゲーム業界にとっても意味のある出来事でもあるのだ。
では、黒字転換にはどういった意味合いがあるのだろうか。それを、探るためには数期ぶりに黒字化したソフトメーカーに照準を合わせてみる必要があるだろう。
(つづく)
(ライター:菅井) |
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