「対抗馬はXbox?GC?」
ソニー内部でPS2を脅かす存在に考えられているXboxであるが、任天堂のゲームキューブ(GC)はPS2の脅威とはならないのだろうか。GCは任天堂が満を持して世に送り出す期待のゲーム機である。GCの前世代のゲーム機「ニンテンドウ64」(N64)はそれなりの評価を受けていたものの、ソフトの作り難さをソフトメーカーに嫌気されライバルであるPSに大きな差をつけられてきた。任天堂はN64での失敗を反省し、GCではソフト作成過程を簡素化するなどの工夫を凝らしてきた。その結果、ソフトメーカーやユーザーなどから高い評価を受けるようになった。N64では殆どソフトを供給してこなかった大手のソフトメーカーが続々と参入を表明している事を考えれば、それがわかるだろう。その良い一例としては、カプコンの「バイオハザード」シリーズがGCに移籍したことが挙げられる。
ソフトメーカーだけでなく、ユーザー側からもGCの評価は高い。2001年5月にアメリカで行なわれた世界最大のゲーム見本市「エレクトリック・エンターテインメント・エキスポ」(E3)では、GCを設置していた任天堂ブースが会場内で最も盛況だったという。その様子を2001年5月26日付の日本経済新聞では『ゲームキューブは試遊できるゲームソフトこそ八種類と少なめだったが、試遊台を何重にも人垣が取り囲み、通路を歩くのが困難なほどの混雑ぶり』と伝えている。
ソフトを作る側からも、遊ぶ側からも歓迎されているGCをゲーム雑誌最大手「ファミ通」編集長である浜村弘一氏は『間違いなく、すごいスピードで普及するだろう』(ブルームバーグ
「フォーラム:ゲーム機“Xbox”の国内発売は年内困難」 2001年8月24日)と予測した。
結果から見ると、浜村氏の予測は当たったと言える。特に北米で当たったといえよう。日本ではGC発売時には予想されたハイペースでは売れなかったが、米国では発売から15日間で60万台のGCが無くなってしまうほどのハイペースで売れていったという。そのため、任天堂は2002年3月末までに400万台を出荷する計画を修正し、それよりも50万台多いGCを追加で生産しなければならなくなったほどだ。日本ではさほど騒ぎにはならなかったが、北米で計画を上回るほどの売れ行きを示したGCは総合的に考えると、PS2の対抗馬の一番手として考えられてもよいのではないだろうか。
しかし、XboxもGCと同様に好調なスタートを切っている。任天堂は計画として2001年中のGCの出荷数を130万台としていたが、Xboxの方は11月の発売以来、出荷数がすでに110万台に達している。MSは発売直後の売れ行きを「Xbox、ゲーム機発売時における史上最高の売上を記録」(2001年12月5日
マイクロソフト)というニュースリリースにおいて『次世代ゲーム機Xboxが、発売後2週間の時点で、家庭用ゲーム機の発売開始としては、史上最高の売上を記録しました』と発表した。もちろんMS側の発表であるから、本当に史上最高であるかどうかは分からないが、出荷数が110万台に達している事を考慮すれば、それ相当のXboxが売れたと考えて間違いないだろう。
あれだけ前評判の高かったGCに匹敵するか、それを以上の売上を記録したXboxは,GCに代わってPS2の対抗馬の一番手になる資格は十分にあるといえる。では、ソニーの安藤社長はXboxの販売が好調であるから、XboxがPS2の脅威になると考えているのだろうか。
それは違うだろう、と筆者は考えている。ソニーがXboxを恐れる理由。そのヒントはバンダイを代表するコンテンツである「機動戦士ガンダム」が握っている。 |