【特集】「人気オリジナル同人ソフト『月姫』製作者に聞く」part6 |
●「原画、グラフィック全般・総指揮」担当の武内崇さんに聞く
「月姫」に関わった5人の方に一人ずつ質問を送り、その質問に対するご返答を掲載の3回目。
「原画、グラフィック全般・総指揮」を担当された武内崇さんに聞いております。制作そのものはもちろんのこと、「月姫」スタッフの人脈の中心人物ともいえるかと。
Q1.ゲーム会社へ勤めていたようですが、どのような会社だったのでしょうか。
A1.元は、清兵衛、Kateと同じくコンパイルの社員でした。ですが、コンパイルが破綻しまして、先輩のつてで東京のアーケードゲーム開発中心の会社に再就職しました。そこで、実に多くのものを得ることが出来ました。会社の業務として、もありますが、出会った方々から本当に沢山の指針と機会を得ることが出来ました。大げさに聞こえるかもしれませんが、今日に至るまで、良いこと悪いこと含めて、ひとつも無駄なことがなかったようにも思えます。
Q2.会社にいた時に関わっていた仕事内容と、その時の苦労話などをお聞かせください。
A2.格闘ゲームやシューティングゲームのモーションデザインを行っておりました。
Q3.会社でやっていたことが「月姫」制作にも生かされたことはあるのでしょうか。
A3.上での答えと同じになってしまうのですが、無駄なことは無かったと思います。ただ、すべてが直結していたわけではなくて、尊敬する先輩の仕事のスタイルであったり、ちょっとしたアドバイスであったり、肯定の言葉だったり、そういう自分自身の方針みたいなものを確立できたのは、本当に前の会社で出会った方々のおかげだと思っています。
Q4.イベントグラフィックが150枚、グラフィック総数が500枚以上とかなりの量を描いていますが、どれくらいの期間でこれらを描き上げたのでしょうか。また、その時の苦労話があれば是非。
A4.グラフィック総数については、背景は写真なので、実際仕上げたのは400枚ぐらいです。実制作期間は、だいたい7ヶ月前後だと思います。苦労話といってもそんなに大仰なものはあんまり無くて、ただ毎日ひたすら作っていたなぁということぐらいしか思い出せないですね(笑)会社で仕事をして、帰ってきてから朝の4時ぐらいまで月姫の作業、という日々を続けていました。睡眠時間が足りなくて、昼休みはご飯を食べずに寝てばかりいました。
Q5.「月姫」制作時で一番忙しかったときのタイムスケジュールはどんな感じでしょうか。
A5.2000年の6月前後が、肉体的も精神的にも一番辛かったです。なんとしても夏コミに、完全な状態で月姫を出さねばならない、というある種の強迫観念に取り憑かれていましたから(笑)
Q6.家庭用ゲームでオススメのゲームがあればオススメ理由と共にお願いします。
A6.ビジュアルノベルとは関係ないのですが、ナムコの「ソウルキャリバー」は一番はまったゲームです。理由は、剣撃格闘の美しさとかっこよさ、でしょうか。モーションも、モデルも、システムも、もう何もかも最高に好きです。
Q7.「月姫」を作る上で、参考になったゲームはあるのでしょうか。またあればそのゲームのどんな部分が参考になったのでしょうか。
A7.参考というと、ちょっと違うのですが、Airには大きな影響を受けました。それはやる気を刺激される、という意味合いのですが。月姫の完全版の製作前にあのゲームをプレイできたのは、本当に良かったと思います。
Q8.「月姫」を出した後、自身の中で何か変わったことがあればお聞かせください。
A8.「全然変わっていない」と良く言われます。自分としては、色々変わった気がしていたのですが、どうやら思っているほどでは無いようです。そして、まぁそういうものだろうとも思います。
Q9.TYPE-MOON以外に、「竹箒」のサークルでも活動をしていますが、こちらでの今後の展開やコミケ61での予定などはどうなのでしょうか。
A9.コミケ61では、久しぶりに個人サークルでの参加となります。自分の個人誌はありませんが、奈須の小説を予定しています。漫画についても、「書かないのですか?」と良く聞かれるのですが、どうでしょう(苦笑)描いてもいないくせに「描きたいと思っている」なんて、言っちゃいけませんよね。描きたかったら、どんなに忙しくても描いている筈ですから。というわけで、自分個人の活動については、「全くの未定」という事になっちゃっています(汗)
(つづく)
<TYPE-MOON>
http://www.typemoon.com/ |
|
|