【コラム】「子供を狙え ~メーカーの未来志向~」Part3 |
「隠れた狙い」
ソフトメーカーが子ども市場を狙う理由は「6つの財布」と「顧客の育成」の二つにあった。確かに「子ども市場」には、子ども市場が持っている6つの財布による購買力の高さがあり、ソフトメーカーが注力する分野として充分魅力的であるし、なおかつ子どもを幼いころからゲームに親しませておくことによって未来の顧客をも育成できる市場であった。だが、子ども市場だからといって子どもだけに注目して話を進めるのは正しいと言えるのだろうか。多少見方を変えてみると、子どもには必ず親がいることに気付く。彼らもまた、子ども市場の中では子どもと同じように重要な立場にあるため、忘れてしまってはいけないだろう。
AV(音響・映像)ソフトの販売・レンタルを行う「TSUTAYA」はこの夏に小学生以下の子どもを対象に、来店するだけでプレゼントを渡す企画を行った。狙いは子ども、ではなく親だ。『狙いは親世代である三十-四十代を会員として取り込むこと。同年代のTSUTAYA会員は全国で六百万人を超すが、ニ十代会員と同程度にすぎず、開拓余地が大きいとみている』(2001年7月19日
日経流通新聞MJ)。
この記事から、TSUTAYAには子どもにプレゼントを渡す企画を実施することで、子どもに強い来店動機を与え、親を店まで引っ張ってきてもらいたかったという意図があったといえるだろう。言葉は悪いが、TSUTAYAは親を取りこむ一手段として、子どもをダシに使ったのだ。
子どもに訴えることで、親をも顧客化するTSUTAYAの手法はソフトメーカーが子ども市場に注力している理由を知る良い答えとなる。つまり、ソフトメーカーは子どもを利用することで、親をも顧客としてしまおうと狙っているのだ。子ども向けのゲームやゲームコーナーの存在は、その子どもを連れてくる親に、ゲームに触れさせる絶好の機会を作る。それは、それまでゲームを触れたことの無い人や、ゲームから離れていた人を顧客化できる良いきっかけになるかもしれないのだ。
ゲームと一口に言っても、そのジャンルは様々にある。その中には大人がやっても十分楽しめるゲームは数多くある。ゲームソフトの分野で言えば、コーエーの「信長の野望」などがその代表格になるだろう。子供向けの商品やサービスを提供することで、こうしたゲームの魅力を購買力のある親に知ってもらえれば、ソフトメーカーとしては願っても無いことであろう。なぜなら、子どもの購買力を遥かに上回る親が顧客となってくれるのだから。
(つづく)
(ライター:菅井) |
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