【コラム】「拡大路線へ~“飽き”とのあくなき戦い~」Part3 |
「生き残り策」
アタリとワーナーの失敗は、ゲーム業界にとって反面教師にしなければならない。そのためには「攻め」の姿勢で望むことが必要になる。これをまさに実践したのが、コナミである。
1995年、今でこそ絶好調のコナミだが、当時は殆ど「倒産寸前」にまで追い込まれていた。95年3月期はゲームソフトの販売不振などにより159億円もの巨額の赤字を計上することになったが、その年の売上高が270億円程度でしかない企業に、この赤字額はあまりに重すぎた。
そんな中、社長に復帰した創業者の上月影正社長は「攻め」の姿勢を執った。アタリと同じ経営危機にもかかわらず、上月社長はゲームソフト開発部門を拡大させ、なおかつ分社化や、成果主義の給与体系を導入し、徹底した攻めの路線を打ち出したのである。ワーナーの経営陣とは、全く正反対の方針であったが、結果はコナミにとって最高のものになった。95年3月期の業績を底にして、翌期には黒字化を達成し、特に2001年3月期の業績は、217億円という巨額の黒字を計上するまでに回復したのである。
コナミ上月社長が、アタリのワーナーの失敗を教訓にしたのかどうかは、実際の所、わからない。だが、守りの姿勢をしていては、ゲーム業界では失敗すると考えていたことは確かであろう。
アタリとコナミの正反対の結果は、ゲーム業界で生き残る唯一の道を示したと言える。それは、「攻めなければ明日はない」ということだ。このことは、現在のゲームソフトメーカーの活発な動きとは無関係であるはずがない。他のソフトメーカーはコナミがどん底からどうやって復活したのかを知っているのだ。この成功例を自社の建て直しに利用しない手はない、と考えるのも当然の成り行きであろう。だからこそ、いま、ゲームソフトメーカーは「攻め」ているのだ。
(つづく)
(ライター:菅井) |
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