【コラム】「ゲーセン改革 ~ネットカフェの可能性~」Part4 |
「多大なる恩恵」
ネットカフェは人口2200万人の台湾でも480億円の市場になると見こまれている。台湾の何倍の人口を抱える日本ならば、その二倍、三倍の市場規模になっても何もおかしくはない。そのような巨大市場となるかもしれないネットカフェをゲームソフトメーカーは無視はしないだろう。重要なプラットフォームとして認識する可能性が高い。ゲームソフトメーカー側にしてみれば、ソフトはパソコンに供給するだけだから、通常ならばハードメーカーに支払うロイヤルティも発生しないし、その他の様々な制約もない。つまり、自由な環境下で、利益率の高いソフトを売ることが出来るのだ。これは、ゲームソフトメーカーにとって旨みのある話だろう。さらに、ゲーム開発におけるハードルが低いことによって、ゲームソフトメーカー以外(例えば個人など)からのゲームソフトの供給があるかもしれない。そうなると、従来のゲームとは全く違う新鮮味のあるゲームもネットカフェで出来るかもしれないのだ。
家庭用ゲーム機では、何とかサードパーティに参加してもらおうと、ハードメーカーはそれぞれに知恵を絞る。サードパーティは、その存在がハードの命運を左右するといっても、言い過ぎではないぐらい重要な位置にいる。しかし、ネットカフェではサードパーティの方から参加してきてくれる。何ともありがたいことである。多くのサードパーティが参加することで、ネットカフェのプラットフォーム(パソコン)は活性化する。従来、プラットフォームを提供する企業には大きな恩恵がもたらされた。任天堂・ソニーの例を見れば分かるであろうが、大きな恩恵とはゲームソフトメーカーから支払われるロイヤルティである。これは「巨額な富」なのだ。ネットカフェでは、そんなものはないのだが、その代わりにユーザーからの利用料がある。ユーザーがゲームをやるために、ネットカフェを利用すればするほど、それを提供するゲーセンが潤うようになる。
パソコンはそれまでゲーセンにあったアーケード機器に比べると、十分の一程度(あるいはそれ以下)の低価格で手にする事が出来る。つまり、投資金額が安いのである。そのために利益率が高くなり、儲けやすくなるのだ。(一方で、投資金額が安く、極端な話、パソコンさえあればネットカフェを開業できるので、全くの異業種からの参入が多くなり、ゲーセンが儲けにくくなる事は十分に予想できるのだが…)
もちろん、これが楽観的なシナリオであるのは承知している。しかし、現実味が薄いわけではない。台湾・韓国のネットカフェの成功、日本での「ファンタシースターオンライン」「ウルティマ
オンライン」「ディアブロ」などのオンラインゲームのヒットは、ネットカフェが成功するかもしれないきざしと捉える事が出来る。決して、ネットカフェを取り巻く環境は悪くないのだ。あとは、普及するきっかけさえつかめれば、ネットカフェはゲーセンを大きく変えるかもしれない。
日本のネットカフェが今後どうなっていくのか、楽しみである。(おわり)
(ライター:菅井) |
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