【コラム】「ゲーセン改革 ~ネットカフェの可能性~」Part3 |
「ネットカフェ化がもたらすもの」
ゲーセンがネットカフェ化することによってもたらされるものは、ゲーセンにおける「1ハード=1ソフト」時代の終焉であろう。今までは、ゲーセンのゲームと言えばひとつの筐体にひとつのソフトしかなかった。ひとつのゲームには必ずと言って良いほど、それ固有の筐体が存在していたのだ。つまり、1ハードには1ソフトである。だが、ネットカフェ化によるパソコン導入によってゲーセンで「1ハード・複数ソフト」が実践できるようになる。パソコンはゲーセンの筐体と違いソフトさえ入れ替えてしまえば、幾らでも使えることが出来るからだ。
「1ハード=1ソフト」から「1ハード・複数ソフト」への転換は、玩具メーカーからゲーム機メーカーへ華麗に変身した任天堂の思考転換と良く似ている。任天堂もかつて、カルタやトランプ、メカおもちゃなどが主力商品であったが、1980年代のファミリーコンピューターを発売し、みごと世界有数のゲーム機メーカーになった。任天堂成功の理由のひとつとして、「1ハード=1ソフト」からの脱却があげられる。任天堂の山内社長はこう述べる。
『ファミコンを発売する前までは、ピッチングマシーンやトランシーバーのおもちゃなど、メカを主体にしていました。だから、一つのハードに対してソフト一つだったんです。だから、ユーザーはすぐに飽きるんですよ。(略)玩具というのは本来アイディア商品なんです。ですから、飽きられたらおしまい。今年は売れたけれども翌年は駄目になる、ということなんかザラでして、商品寿命が短く浮き沈みの多い業界なんです。』(「NHKスペシャル
新・電子立国 第4巻 ビデオゲーム・巨富の攻防」 P161~162 著相田茂・大墻敦 日本放送出版協会 1997)
こうした状況を打破するために、ユーザーに飽きられないような工夫が必要になった。その答えが「1ハード・複数ソフト」だったのであり、ファミリーコンピューターの開発・発売だったのである。任天堂は「1ハード=1ソフト」から「1ハード・複数ソフト」に思考転換することで、ハードをとソフトを分離させ、ハードをプラットフォーム化し、成功を納めた。今回のネットカフェ化による、ゲーセンにおける「1ハード・複数ソフト」時代の到来はネットカフェに存在するパソコンを、ファミコン同様にプラットフォーム化することになる。
では、プラットフォームと化したネットカフェのパソコンは、どのような恩恵をゲーセンにもたらすのであろうか。
(つづく)
(ライター:菅井) |
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