【コラム】「ナムコ・エニックス・スクウェア提携」Part4 |
「プレイオンラインの共同利用」
プレイオンライン(POL)とはスクウェアが始めるネット事業のことである。スクウェアはオンラインゲームに大きな期待を寄せているため、そのプラットフォームになるネット事業POLには力を入れている。今後発売される「ファイナルファンタジー10」は一部ネット対応になるし、続編である「11」は完全にオンラインゲームになる事がそれぞれ予定されている。スクウェアは徐々にオンライン化するファイナルファンタジーを活用して、POLを今後の収益源にしたいと考えているのだ。
ただ、POLは周囲から不安視されている。ドイツ証券の大屋高志アナリストは『FF11投入で一時的に増えても年間通じて五十万人弱を確保するのは困難』(2001年
2月20日 日経金融新聞)と述べ、POLの収支をゼロにする水準のために必要な会員数である50万人の確保でさえ難しい、との見解を示している。
そうした中で、ナムコやエニックスと提携するのは、スクウェアにとって大きな意味がある。なぜなら、ナムコやエニックスもオンラインゲームに大きな期待をしているからだ。エニックスの本多社長はオンラインゲームについて『ネットゲームは新市場を生むチャンスです。(略)ネットという新しい場で“第二のドラクエ”を生み出したいと思います』(2001年
5月5日 日経産業新聞)と言っており、オンラインゲームに対して非常に意欲的だ。ナムコも基本的に同じである。
各社がそれぞれオンラインゲームを出すのであれば、スクウェアとしては自分のPOLを利用してもらいたいと考えるのは当然であろう。ただでさえ、POLは赤字になると言われているのだから、ファイナルファンタジー以外の、他の有力なコンテンツをPOLに集めることで、会員を増やし、収益を確保したいはずである。
一方、ナムコやエニックスにとってもPOLにオンラインゲームを供給するのは悪い話では無い。オンラインゲームはパッケージソフトと違い、一度消費者の手に渡ったらそれで終わり、という商品ではない。オンライン上にゲームが存在する限り、サーバーの管理などの維持運営費が常にかかる。こうしたコストを少しでも減らすためには、他社と共同して運営した方が得策だと考えるのは当たり前であろう。
さらに、POLにオンラインゲームを供給すれば、POLにスクウェア・ナムコ・エニックスのオンラインゲームが集中する事になる。そうなると、「ゲームがたくさん出ているから、ファミコン・プレイステーションを買おう」というユーザー心理と同じように、ユーザーはオンラインゲームをやる際にはまず、POLの会員になる可能性がある。ゲームが集まることによって生まれる相乗効果は、三社にとって思いがけないほどのたくさんのユーザーをもたらすかもしれないのだ。
今述べた効果は非現実的なものではない。POLでの提携は高い確率で発表されるのではなだろうか。
※「POLの収支をゼロにする水準のために必要な会員数」は、先日新たに発表されたものによると約30万人に下がっている。
(つづく)
(ライター:菅井) |
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