「コスト削減」
提携によって生まれる効果として、最も期待できるのが、コスト(費用)の削減である。現在、ゲームの開発費はうなぎ上りで上昇している。昨年発売されたスクウェアの大人気ソフト「ファイナルファンタジー9」の開発費は40億円と言われているし、プレイステーション2(PS2)で初のミリオンヒットになったカプコンの「鬼武者」では10億円がかかったという(2000年
7月7日夕刊読売新聞・2001年 4月24日 日経流通新聞MJ)。
多額な開発費をかけて、確実に売れれば良いが、決してそんな事は無い。大規模な開発費を投入して製作したゲームであるにもかかわらず、期待通りには売れない例は数え切れないほど存在する。企業の側としても、そのようなリスクは出来る限り避けたいはずなのだ。ただ、今はゲーム機の性能も飛躍的に向上してるため、それに合わせたゲームを作るとなると、やはり高額の開発費が必要になる。例えば、ゲームを開発するためには無くてはならない開発機材であるが、PS2の場合、一台200万円もする大変高価なものなのである(週刊ファミ通
2001 3/16 エンターブレイン
P99)。当然、ゲームは開発機材一台で出来るはずも無いので、複数台必要になる。仮に、50台揃えるとなると、もうそれだけで一億円になる。
今のような現状は、ゲームソフトメーカーにとって決して好ましい事ではない。メーカーにとって売れる保証が無いゲームソフトの開発費は低ければ低いほどよい。もし、ゲームが売れないとしても、安い開発費であれば大きな損害を受けずにすむし、逆にゲームがヒットすればそれだけ多額の利益を得ることができるのだから。
高額な開発費を少しでも減らすために、他社と提携するのは充分意味がある。提携による開発費抑制の分かりやすい例としては、開発機材の共同利用があろう。一つの機材を複数の会社が使うことで、高価な開発機材を個別に買わなくてもすむようになる。どうせ、PS2向けにソフトを作るのであれば、なにも一台200万円もする高価な機材を別々のメーカーが揃える必要は無いのだ。
提携によって開発機材を買わずに済んだのであれば、開発費抑制には成功したと言える。特にナムコ・スクウェアは2001年3月期の決算において赤字なのであるから、地味ではあるが、着実に減らす事の出来るコストは徹底して減らしていくと考えられる。なので、すでに三社の間では具体的な話が進んでいるのではないだろうか。
(つづく)
(ライター:菅井) |