「ネットゲームと特許」
アメリカのワールズ・コム社は3Dチャットに関する技術に対する特許を取得した。この特許は世界中のネットゲーム開発者にとって大きな足枷となる可能性が高い。エバークエストに代表されるMMORPGと呼ばれるネットゲームにおいて3Dで自分の分身を操作しながら他人と会話できることは必要不可欠な機能だ。この特許によってほとんどの3Dネットゲームが特許権者の許可無く製造出来なくなる恐れがある。ワールズ・コム社はエバークエストを開発したソニーの子会社ベラント社を第一の標的に定めているようだ。両者の間で訴訟となる可能性は極めて高く、その結果によってはネットワークゲームの発達に大きな影響が出ることも考えられる。
ワールズ・コム社に限らず多くの企業・個人がネットゲームに関する特許を出願して いることは疑いない。今回の事例は氷山の一角だといえるだろう。
プレイヤーにとっても既存のゲームを改良するアイデアを思いつき、特許を取得するだけで、場合によっては年間数千万円~数億円の特許料をソフト会社
等から受け取ることができる可能性があるのだ。ネットワークゲームは未成熟である分、その周辺技術に関する特許は宝の山となる可能性がある。特に3Dゲームに関する技術は電子商取引に応用できる可能性が高く、ゲーム業界以外
からも注目されている。しかしこれらの特許が結果的にゲーム自体の発展を阻害してしまっては本末転倒だ。
他社の特許に抵触しないためにはゲームのクォリティを下げるか、独自のゲームを作るか、ゲーム
を作らないかという選択肢しかない。ゲーム開発者にとって避けて通れない悩ましい問題である。
(おわり)
(ライター:岡部) |