【コラム】「ゲームキューブ延期 ~任天堂の原点回帰~」Part3
 「N64こそは」

任天堂がゲーム市場存続の為に掲げたその主張も、ファミコン(FC)やスーパーファミコン(SFC)時代では、充分とは言えなかった。特にSFC時代では任天堂は176社とのゲームソフトメーカーと契約を結び、「月に百本近くものソフトが出たこともあった」(「ゲームの大學」 著平林久和・赤尾晃一 メディアファクトリー 1996 P350)ほどの乱売状況も記録したこともあったし、92年には「新作ソフトだけでも一八〇タイトル・2700万本」が出荷されたこともあったのである(「プレイステーション 大ヒットの真実」 著 山下敦史 JMAM 1998 P79)。FCやSFC導入期ではきちんと少数精鋭主義を打ち出しつつも、充分に機能しなかったがこの数字から見てとれる。だが、N64発売時には、これらの習慣を見直し、任天堂の主張を固く守ろうとした。他社のソフトメーカーから出す本数を限定させ、さらには他社のゲームソフトメーカー自体を極力参入させないようにしたのである。その結果、ナムコやスクウェアと言った大手のメーカーはPlayStation(PS)陣営に流れ、N64でソフトを出すことは殆ど無くなるのである。これにより、任天堂はN64で初めて、自分の主張を実践できる環境が整ったことになったのある。従来から主張してきた「少数精鋭主義」は、N64という新プラットフォームでようやく実行出来る時がきたのである。

(つづく)

(ライター:菅井)

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