「淡い期待」
携帯電話市場における客単価の低さにも拘わらず、各ゲームメーカーがこぞって携帯電話にゲームを供給している背景には、携帯電話市場にかける「淡い期待」がある。この淡い期待が、ゲームメーカーの携帯電話市場への進出を支えている。「将来に向けての先行投資」(2001年1月11日付 日経産業新聞)「あくまでも将来を見据えた実験」(週刊ファミ通 2001 3・16号 P100)ゲームソフト大手のコナミのCS事業本部長北上一三氏は携帯電話にゲームを供給する事に対して、こう述べている。北上本部長は「将来」という言葉を連発するが、その発言の裏には、携帯電話市場は将来、ゲー
ムメーカーに利益をもたらすかもしれないという淡い期待がある。当然ながら、彼の言葉は携帯電話にゲームを供給している全メーカーの声でもある。では、将来「得られるかもしれない利益」とは何なのであろうか。筆者はそれを大きく2つに分けて、次に考えてみることにしたい。
「淡い期待~新規ユーザーの獲得~」
ゲームメーカーが考える利益とは、まず第一に「新規ユーザーの獲得」であろう。日本国民の二人に一人は携帯電話を持っているため、携帯ユーザー層は幅広い。既存のゲームの主要購入者である若年者層だけではなく、ゲームに殆ど触れずにいる年齢層の人達にも携帯電話は普及しているのである。ゲームメーカーは携帯電話にゲームを供給する事によって、今までゲームにあまり触れずにいた人達を、ユーザーとしてととりこむことを狙っているのだ。
携帯電話で行うゲームは、従来のゲームと比べて敷居が低い。通常、ゲームをやるためにはハードを買ったり、メモリーカードを買ったり、ソフトウェアを買ったりと、決して安くは無い買物をしなければならない。だが、携帯電話ゲームではそんなことはない。月額わずか数百円を支払うだけで、手軽にゲームに親しむ事ができるのだ。この差は大きい。そうなると、彼らにゲームにさえ興味を抱かせることができたならば、「100円ショップ」で気軽にモノを買うようにゲームもまた、買ってくれるかもしれない。そうして、ゲームに親しめば、新たにゲームハードやソフトを買って遊んでくれるかもしれない。ゲームメーカーはそう考えているのではないだろうか。
つまり、携帯電話ゲームを呼び水にして、新しいゲームユーザーを増やそうとしているのだ。
(つづく)
(ライター:菅井) |