「カードゲームの本当の魅力」
オンラインゲームが成功する理由を述べる前に、なぜカードゲームが流行したかを考えてみたい。先ほど、カードゲームが人気となった幾つかの表面的理由を挙げたが、本当はそれだけでない。カードゲームがこれほどまで人気になった訳は、カードゲーム自体が持つ本当の面白さに由来する。
カードゲームが流行った本当の理由は、「他人とカードゲームを通じて遊べる」というカードゲーム本来が持つ特長がユーザーに受けたからだ。何を当たり前な事を、と言う向きもあるだろう。だが、これは重要な事だ。 もし、カードゲームが自分一人で遊べるように作られていたら、こんなにヒットしただろうか。おそらく、そうはならなかったと思う。なぜなら、ユーザーはもう一人で遊ぶことに飽きているからだ。
TVゲーム・携帯ゲームの世界をみても、その傾向は強い。今は、一人で遊べてしまうゲームより、同一ゲームに複数人が参加し、同時に遊べるゲームに人気が集まっている。その代表格が「ポケモン」であろう。「ポケモン」や、それに類似したポケモン系ゲーム、さらに複数人参加型がゲームが、ゲームの売上ランキング上位を占めることは珍しいことではない。
このような流れから分かることは、ある決められた思考パターンを持つコンピューターなどを相手にゲームをするより、コンピューターのように型にはまった戦略を取るわけではない、生身の人間の方を相手にするほうが面白い、とユーザーは感じている、ということだ。だから、ユーザーはより面白いゲームであるカードゲームに流れていっているのである。既存のゲームでは、ゲームを熱心にやればやるほど、コンピューターの思考パターンが読めてしまい、どうしても飽きてしまう。「攻略法」という言葉もあるぐらいだから、「相手」の次の行動が比較的楽に読めてしまう。こうなるとゲームの遊び方に「マンネリ」が生まれてしまう。ゲームは先が分からないから、面白い。これはゲームに限ったことではないが、先が分かったマンネリゲームほど面白くないゲームはない。だから、ユーザーは今までのゲームに飽きてしまったのだ。しかし、カードゲームではそうはいかない。相手は常に新鮮な人間相手なので、次にどんな手法でゲームに臨んでくるのかなど、全く分からない。人間はコンピューターなどよりはるかに優れた頭脳を持っているためだ。このためカードゲームにはコンピューター相手のゲームでは決して味わうことができない面白味があるのだ。
このカードゲーム自体が持っている本質的な面白さが、大ヒットした大きな理由なのである。
(おわり)
(ライター:菅井) |