【コラム】「カプコン撤退?~カプコンが出した絶縁状~」Part4
「カプコンショックの明と暗 (明)」

業務用ゲームソフト事業を事実上ストップさせる。「カプコンショック」といっても良いほどの、このショッキングな決断によって、ゲーム業界全体の今後に様々な影響が出るのは明らかであろう。なぜなら、業務用ゲームソフトを開発・販売してきた大手メーカーでは、カプコンがはじめて撤退するのだ。しかも90年代前半はカプコンが業務用ゲーム市場を引っ張っていたほどの大手である。何もないとはとても考えられない。

ここからは、カプコンが投じた一石の波紋の影響を良い面と悪い面に分けて、予測してみたい。まず、この章では良い面、つまり「明」の部分を取り上げてみたい。

撤退の決断によってもたらされる「明」の部分は、カプコン社の利益向上であろう。前記した通り、利益率の面から考えて、業務用ゲームソフト事業を続けるよりも、家庭用ゲームソフト事業にシフトした方が効率は非常に良い。同じゲームを同じ額だけ販売したとしても、利益率は後者の分野の方が圧倒的に高いのだ。業務用ゲームソフト事業の撤退は、まちがいなくカプコンに今まで以上の利益をもたらす。しかも、カプコンは現在、家庭用ゲームソフト事業では「バイオハザード」などのヒット作が次々に出しているのだ。このまま、縮小していく業務用ゲームソフト市場にしがみつくよりも、そこに投入していた人材や資金を家庭用ゲームソフト事業に再配置すれば、より一層の利益を手中にすることができるのである。カプコンとしては、多いにメリットがある決断だったと言えるだろう。

 

「カプコンショックの明と暗 (暗)」

カプコンショックがもたらす「暗」の部分で考えられるのが、「業務用ゲームソフト事業の再開時における困難」があろう。これは一体どういうことか。簡単に言えば、こうである。一度、なんらかの分野を停止させ、一定期間経過後、それを再び再開させるには、多くの手間とコストが掛かり、すぐには出来ない。だから、ある程度の規模を確保していなければ、機動的に対処するのは難しい、という事である。たとえば、軍事の世界でもそのようなことはある。「軍事力は一朝一夕には育たない。戦車や軍艦は完成品を買って来れたにしても(略)、それに乗って戦う兵士と、それを総合的に運用指揮できる指揮官を育てるには長い年月がかかる。……そのため、一度ある分
野の軍事的能力を止めてしまうと、それを再建するには非常に長い年月と多くの労力、経費が必要になる」(「安全保障とは何か」 著江畑謙介 p160~162 平凡社 1999)。ゲームの世界でもほとんど同じであろう。つまり、もう一度業務用ゲームソフトを開発する人間を育て上げるためには大きなコストと長い時間がかかってしまうのである。

一般に、家庭用ゲームソフト事業を手がけている大手ゲーム各社でさえ、プレイステーション2の開発環境になれるまで、時間がかかっているといわれているのだ。撤退した業務用ゲームソフト事業を復活させるためには、相当な困難が待ち構えているのは容易に想像がつく。

(つづく)

(ライター:菅井)

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