「カプコン決断のわけ」
カプコンは事実上、業務用ゲームソフト事業をやめる決断をしたが、これまで自社を支えてきたこの事業を「捨てる」理由はどこにあるのであろうか。日経新聞には業務用ゲームソフト業界の今後の回復が見こめないと書いてあったが、もっと直接的な理由としては「利益率の低さ」があげられるだろう。ソシエテジェネラル証券のレポートによると、カプコンの業務用機器販売・レンタル事業とコンシューマ用機器販売事業(家庭用ゲーム事業)の両部門が同時に利益を出していた1996年3月期から1998年3月期までの3年間の平均営業利益率は、前者が11.03%、後者が29.6%であった(2001年1月23日付け ソシエテジェネラル証券 「カプコンレポート」より作成)。両者の格差は約3倍弱の開きが生まれている。これだけ、利益率に差が生まれていれば、業務用ゲームソフト事業を止め、家庭用ゲーム事業に注力するカプコンの決断は納得できる。カプコンは営利企業。より利益の上がるところに経営資源をシフトさせるのは、当然のことであるのだ。
(つづく)
(ライター:菅井) |