【コラム】「Xboxの憂鬱 ~未完の大器~」Part1 |
「軟調」
Xboxの販売が振るわない。2002年2月に日本市場に華々しく登場したが、数字がそれに伴っていない。これまでに販売した台数は20万台前後と言われているが、この数は初回に出荷した約25万台に満たない。おそらく初回出荷分は未だに完売できていないものと思われる。
販売不振の傾向は日本だけではなく、欧州でも確認されている。特に、フランス・イギリスでの販売は悲惨な結果になっている。『仏で二万台、独で一万二千台程度』(2002年4月19日
日本経済新聞)しか売れていないのだから、とても好調とは言いがたい。期待を裏切られた格好のマイクロソフト(MS)は、欧州での販売価格をプレイステーション2(PS2)と同程度になるよう値段を下げざるを得なくなった。発売からわずか、一ヶ月余りでの本体価格の値下げは異例である。
日本と欧州の販売不振のあおりを受け、MSはXboxの販売計画のレベルを引き下げた。従来から、2002年6月頃までに四百五十万台から六百万台を販売する目標を掲げていたが、今回新たに三百五十万台から四百万台というレベルを落とした販売計画を再設定し、目標を現実的なものへと切り替えた。同時にMS本体の業績も販売計画の変更で下方修正をした。
Xboxの不振原因を日本市場に求めると、まずソフト不足があげられるだろう。Xboxの普及を後押しする最大のキラーソフトに目されていた「デッドオアアライブ3」(DOA3)はそれなりに役割を果たしたが、Xboxを完売させるだけの威力は無かった。だからと言って、DOA3を責めるわけにはいかない。そもそもXboxのキラータイトルが事実上DOA3だけだったことが根本的な問題なのだ。『DOA3だけのために四万円も出せない』(2002年2月21日
日経流通新聞MJ)と、都内のある男性ユーザーは購入を渋っている理由をこう打ち明けた。DOA3以外にも有力タイトルがあれば、彼のような購入を迷っているユーザーの手にもXboxが渡っていた可能性があるだけにソフト不足は、明らかに普及の足を引っ張ったと言える。
ゲームソフト不足以上にマイナスの影響を与えたのが、Xbox本体の不具合であろう。「Xboxで再生するとDVD/CD-ROMに傷が付く」という不具合があると報じられれば、ユーザーがXboxの購入を手控えるのは当然だ。さらには、Xboxを購入した人たちからの問い合わせが相次いだ当初、MS側の対応がお世辞にも上手でなかったことも、未購入ユーザーのXbox購買意欲を減退させた。追い討ちをかけるように一部のゲーム販売店が、MSの対応の混乱が原因でXbox本体の販売を一時取りやめたことも、それに一層、拍車をかける結果となった。
Xboxの販売が振るわない理由を挙げると、こうした幾つかの要因によるものだと推測できるが、ではXboxはこのまま回復することなく、終わってしまうのだろうか。ライバルである任天堂やソニーコンピュータエンタテインメントの首脳達がかつて予想していた通り、“Xboxは売れない”のだろうか。
停滞ムードが漂うXbox。だが、まだ評価を下すのは時期尚早だ。なぜなら、Xboxはこれまで沈滞ムードを打破できず消えていったハードとは少し違っているからである。その違いとは何か。その検証は次に譲ることにしたい。
(つづく)
(ライター:菅井) |
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