【コラム】「GCの不戦主義 ~任天堂の非競合戦略~」part2 |
「非競合状態」
SCE・任天堂・MSの三社が出すハードの中で最も生き残る可能性が高いゲーム機は、GCである。そう予測する人は少なからず存在する。現在、普及台数がトップであり、他社のゲーム機に大きく差をつけているPS2ではなく、発売後一年も経過していないGCが生き残るという根拠として、任天堂が抱える主要購買層が関係している。
任天堂のゲームを遊ぶユーザーの大半は、小学生や中学生である。任天堂のゲームソフトの主要購買層に低年齢層が多くなったのは、「ポケットモンスター」などに代表される任天堂のゲームが低年齢層に受け入れられたからだろう。このため、同層における任天堂の支持率はかなり高いものになる。従って、GCの主な購買層も小中学生が多くなるのは当然と言える。MSのXbox総責任者ロバート・J・バック氏もそれは確認済みで『GCは12歳以下の購入者が多く(いる)』(Mainichi
INTERACTIVE ゲームクエスト 「日本上陸間近、Xboxチーフオフィサーが戦略を語る」 2002年2月6日
カッコ内は筆者)と述べ、GCの主な顧客層が低年齢層に集中している事実を把握している。
一方、PS2の主要顧客層は『十代後半から三十代』(日経流通新聞MJ
2001年10月13日)にかけての若年層であり、GCのそれとは見事にずれている。Xboxの場合も『十六-二十六歳』(日経流通新聞
2001年11月20日)が主な購買層であり、GCとは重ならない。これがGCを生き残らせている一つの理由になっている。つまり、表面上PS2やXboxは、GCとお互いに競争しあう立場にいるにも関わらず、主要顧客層がGCとは異なっているために、実質的に両ゲーム機はGCの競争相手にはなっていないのだ。バック氏は『ゲーム市場は成熟化し、住み分けが可能になった』(Mainichi
以下前記)とも言っているが、その住み分けにGCは成功したのだ。競争がなければGCは無くなる事はない。任天堂があらかじめ、PS2やXboxとは違う顧客層を獲得していたために非競合状態にすることができたのである。これが、GCが生き残ると予測させる根拠になっているのである。
しかし、GCの差別化策は顧客層の違いだけではない。その程度であれば、差別化に成功したとは言い難いだろう。もっと明確にGCをPS2・Xboxと区別する必要があるのだ。
任天堂は競合を避けるために、GCを徹底的に差別化していくことになる。(つづく)
(ライター:菅井) |
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