【コラム】「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」Part1 |
「カードeリーダーの可能性」
任天堂の新型携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス」(GBA)は昨年の発売以来、順調に販売台数を伸ばしている。GBAがユーザーの支持を受けている理由の一つとしては、もちろんGBA用ソフトの充実が背景にあるからだが、それ以外の要因としてはGBAならではの遊び方が多数用意されていることもまたGBAの普及を助けている。例えば、GBA同士をケーブルによって一つに繋ぐと、一本のゲームを数人で遊ぶことができるのはGBAの利点であるし、またGBAをゲームキューブ(GC)に接続し、両ゲーム機を連動させてゲームをより楽しいものにする、といった新しい遊び方ができるのはGBAならではだろう。こうした特長がGBAの利用価値を高め、普及を促す要因にもなっているのだ。
だが、GBAで出来る遊びの中で最も注目したいものはカードとGBAを連動させる遊びである。なぜなら、それはGBAを大きく変えるかもしれない可能性を持っているからだ。
カードとGBAを連動させて遊ぶためには、GBA周辺機器「カードeリーダー」がなければならない。この「カードeリーダー」は「カードe」と呼ばれるカードをGBAに読みこませる事で、カードに記されたデータをGBA上に表示させる機能を持つ周辺機器だ。当初、「カードeリーダー」は一時の勢いが無くなってきた「ポケットモンスター」(ポケモン)の人気を回復させるために登場したと考えられた。それは「カードeリーダー」がポケモンの、GBAにおける展開の一環として現れたからだ。任天堂は「カードeリーダー」を使う事で、子供達に広く普及しているポケモンカードと、GBAを連動させ、ポケモンの世界に一層の面白みを加えてポケモン人気の回復を図ろうとしたのである。同社の浅田副社長も『今までのポケモンの展開をそのまま踏襲しては、いつかは飽きられる。カードゲームとの連携はマンネリ化を防ぐための一つのアイデアだ。子供に人気のカードの世界にポケモンの展開を拡大することで、新しい遊び方が生まれる』(2001年3月8日
日経産業新聞)と話している事からも、「カードeリーダー」はポケモン人気を再び盛り上げる為に登場したと言って過言ではないのである。
だが、任天堂はポケモンのマンネリ化打破の道具として生まれた「カードeリーダー」を、そのまま「ポケモンユーザー専用の周辺機器」として留めておくつもりは全く無いようだ。それは任天堂が、過去に人気を博した「ゲーム&ウォッチ」の「カードe」版の発売を予定していることから分かる。
1980年代に登場し大好評であったゲーム&ウォッチ。これに収められていたゲームを「カードe」として再度販売し、GBA上で遊んでもらおうと任天堂は考えている。さらに、将来的には「ゲーム&ウォッチ」だけではなく、「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)の初期のゲームさえも、「カードe」化して発売する意向だという。これがもし本当に発売されるのであれば、注目に値する出来事だろう。なぜなら、ファミコンソフトを「カードe」として再販売することで、GBAが“ファミコン”へと姿を変えてしまうからだ。「カードeリーダー」を使う事でGBA上で、過去のファミコンソフトが遊べてしまうのであれば、GBAはファミコンになってしまったと言っても間違いではない。
こうなってくると、「カードeリーダー」はポケモンユーザーのための専用端末から、GBAをファミコン化させる貴重な周辺機器へと役割が変わってくるようになる。GBA自体を大きく変えかねない「カードeリーダー」はなかなか面白い可能性を持っているだけに、各方面に色々な影響を与えていくだろう。
(つづく)
(ライター:菅井) |
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