【コラム】「映画ビジネス始動 ~その必然性と問題点~」Part4
「問題点」

クリエイターの夢とソフトメーカーの技術によって映画ビジネスは始動することになったが、ソフトメーカーによる映画ビジネスには問題点はないのだろうか。もし、あるとすれば、どんな所が問題になるのであろうか。

一般的にビジネスにおいて最も重要な問題とは、そのビジネスから利益を得られるかどうか、である。語弊を恐れずに言えば、利益が生まれれば問題が無く、利益を手にできなければ問題ありと見なされる。なぜなら、ビジネスを行う事業主体が利益を追求する営利企業であるためだ。ソフトメーカーも営利企業であるから、このような論理は同じように適用される。つまり、映画ビジネスの最大の問題点とは「利益を生むかどうか」なのだ。

利益を稼ぐ事ができれば映画ビジネスは問題無しと見なされ、今後もソフトメーカーは映画を作り続けるだろう。しかし、映画から利益を得る事ができないと解れば、映画ビジネスそのものが問題視され、最終的に廃止される可能性が高い。現に巨額の開発費がかかったスクウェアの映画「FF」には株主や投資家からの疑問の声が挙がっているのだ。スクウェア側も今回の映画「FF」では、十数億円の赤字を見込んでおり、この数字を考えるとビジネスとして成功であるとは到底言い難い。

このような疑問の声を封じるためには、映画「FF」以降の作品で利益を挙げ、映画ビジネスはきちんと利益を出せるビジネスですよ、という証明をし、周囲を納得させなければならない。

しかし、今回のようなことが続くと、ソフトメーカーによる映画ビジネス自体が問題視されるのはほぼ間違いなく、その余波を受け、他のソフトメーカーも映画ビジネスから撤退するであろうことは容易に想像できる。だからこそ、せっかく立ちあがった映画ビジネスを存続させるためには、何が何でも利益があがる映画を早く作り出さなければならないのだ。

コーエーの襟川恵子会長は、それを踏まえて次のように述べている。『費用が安くて、いい映画が作れるという仕組みが確立されない限り、やらない。いま、研究中で(仕組み作りには)自信がある。3年以内には映画化を実現させたい」(LYCOSニュース 「フォーラム:中期経営計画“達成ペース上がっている” コーエー会長(ブルームバーグ)」 2001年7月2日(木)14時7分)。

果たしてソフトメーカーによる映画ビジネスは成立するのだろうか。動き始めた映画ビジネスだが早くも正念場を迎えている。

(おわり)

(ライター:菅井)

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